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漢方薬のすすめ(バックナンバー)

当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)

更新日:2015-4-1

婦人科的な疾患によく用いられます。疲労しやすく、血色のすぐれない人で、下腹部痛、生理痛、痔疾痛などの訴えのある人に使います。足腰が冷える、足腰が痛む、冷房病でつらいなどという人にもよく効きます。

当帰芍薬散がその代表的な薬ですが、それよりも衰弱や疲労感が強く、強い痛みの人によく効くようです。更年期障害のある方、ご高齢の方にも使用します。不思議なことにこの薬を飲み始めてから花粉症がすっかり治ったという患者さんがおられました。

秋からこの薬を飲み始めたのですが、春になって例年なら激しい花粉症に悩まされるのですが、ひどい花粉の時期にも全く症状がなかったそうです。証(適応症)があえばいろいろな身体の不具合を一挙に治すのでしょう。一剤がぴたりとあうと、身体のあちこちの具合が一挙に整えられるのです。西洋薬のように、婦人科の薬の他に、花粉症の薬を飲む必要はないのです。婦人科の当帰建中湯一剤で花粉症の薬の役割も果たしているのです。ここが漢方薬のおもしろいところです。

成分は小建中湯中の膠飴(みずあめ)の代わりに当帰(せり科の植物)をいれたものです。当帰には強壮、止血、鎮痛の他に貧血を治す効能もあります。膠飴が入ると小児用の薬になり、当帰に入れ替えると婦人科用の薬になる、おもしろいですね。

この薬をのんで貧血がすっかり治り、体調もよくなり「夢のようだ」と表現した方がいました。肩こり、首筋の痛みにもいいようです。

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

更新日:2015-3-1

今年は花粉の飛散が多いようです。二月に入ると患者さんが次々にやってきます。花粉症といえば私はまずこの小青竜湯を使用します。今年もどこから噂を聞いたのか、多くの人が「小青竜湯」を下さいと来ています。口伝えで小青竜湯がよく効くと聴いたのでしょう。

実際、この薬ほど人を選ばずによく効く薬はありません。花粉症にたいして西洋薬もよく効きます。しかし西洋薬の殆どは眠気を伴います。昼間から眠気を催す薬では困る人が大部分ですから、眠気を伴わずよく効く小青竜湯はまさに現代人にぴったりの薬ではないでしょうか。この薬は鼻水や薄い痰の多い風邪にも使います。また咳が長引いて、麦門冬湯も清肺湯も効かないときは、この小青竜湯を使用してみて下さい。長引いていた咳が、薄紙を剥ぐように消えてゆくのが実感できると思います。

成分は麻黄、芍薬、五味子、半夏など八種で構成されています。今年も2月の初めに、永年、花粉症で苦しんでおられ、西洋薬しか服用してなかった方にこの薬を出したところ、とても良いようだと喜ばれました。

西洋薬は化学薬品です。人間という生物にはまだまだ馴染まない物質です。漢方薬はその点、遙かに安全ですよ。

釣藤散 (ちょうとうさん)

更新日:2015-2-1

慢性的な頭痛に悩ませられている人は多いものです。
「朝の起床時に痛む」というような訴えに対しては西洋薬には中々いい薬がありません。「釣藤散」という薬は、朝の頭痛によく効くという性質があります。
また、最近では高血圧症の薬としてこの薬を愛用される人が増えています。西洋薬の血圧の薬ではなんとなく不安だ、そうかといって薬をのまないと更に不安になるという人達が血圧の薬としてのんでいます。成分をみてみますとたしかに血圧の薬としても理にかなっているようです。

釣藤散の名前の由来になっている「釣藤鈎」の薬理作用は血圧降下作用です。釣藤はアカネ科のカギカズラです。それに、菊の花がはいっています。半夏は鎮静作用があります。石膏は利尿作用をもっています。人参にも降圧作用があります。その他陳皮(みかんの皮)や乾姜(乾燥させた生姜)など11種の成分で構成されています。

イライラする気分が無くなくなるので精神安定剤として服用している人もいます。血圧の薬として投与しましたら、夜の排尿の回数がほとんどなくなったと喜ばれたことがります。
教科書には次のように効能が書かれています。「慢性に続く頭痛、肩こり、めまいがあり体力中等度あるいはやや低下した中年以降、または高血圧の傾向のあるもの」

清肺湯(せいはいとう)

更新日:2015-1-1

咳が出るのは辛いものです。
特に就寝中に出る咳は睡眠の妨げになって余計に苦しさを感じます。こういうときの薬としては前号の「麦門冬湯」がよく効きます。しかし、「から咳」ではなく、少し痰がからむような咳でしたら、今回の「清肺湯」がよいと思います。
呼んで字の如く、肺を清らかにする効能があります。教科書には粘っこい痰が出る咳、とあります。痰と咳が目安でしょう。痰きりの薬で、本当によく効く薬というのは西洋薬にはないように思います。もちろん漢方薬にも、誰にでもよく効くという薬はありませんが西洋薬よりは遥かによく効きます。

急性の風邪の時の咳にもよいし、また、慢性的に咳と痰が続く、いわゆる「痰持ち」の方にもよいと思います。慢性の肺気腫などの痰のきれにくい咳の方は一度試されてみてはいかがでしょう。
高齢者の咳、痰に良いように思います。味は子供用にできている「麦門冬湯」ほど甘くはありません。むしろ漢方薬らしい、大人の味です。飲みにくい方もおられるかもしれません。しかし良薬は口に苦しですから、その分だけよく効きます。
成分は麦門冬・天門冬(ユリ科)、桔梗、陳皮(みかんの皮)など十六種という多くの植物を含んでいます。

咳、痰も良くなりましたが、それよりも便通がよくなりました、これは便通の薬ですか?と聞かれたお年寄りがいました。まさにこれが漢方薬ですね。

麦門冬湯(ばくもんどうとう)

更新日:2014-12-1

麦門冬湯は咳の薬です。
痰の切れにくいせきには麦門冬湯と教科書にはありますが、痰の少ない空咳にもよいように思います。
強い咳に圧倒的によく効きます。子供用に出来ているので少々甘さがあります。小さな子供も喜んで服用しています。子供用ですので、大人の強い咳には一回に二袋ずつのむように指導しています。

漢方薬はゆっくりしか効かないと思っている方が大勢おられますが、どうしてどうして、麦門冬湯は素晴らしい即効性の薬です。のんですぐに効きます。私自身も、いつも持ち歩いている漢方薬の一つがこの麦門冬湯です。講演中に咳が出ては困るなと思うときには必ず前もって飲んでおきます。そうするとどんなに激しい咳をしていても講演中はピタリと治まっているのです。いい薬ですよ。咳がひどく、眠れない方は一度、試してみてください。いびきの薬に最高ですねと言われたこともあります。身体が元気になる、不眠が無くなったという人もいました。

成分の中心は麦門冬(ゆり科のじゃのひげの根)です。それに精神安定剤の半夏(さといも科のからすびしゃく)、水飴やなつめなど6種で構成されています。水飴が入っているので甘くてのみやすい薬です。子供たちは喜んで飲みます。咳がひどいときは二包づつご使用下さい。これほど効く、咳止めの西洋薬はまずないと思います。西洋薬の咳止めは殆ど効かないと言っても間違いありません。40年内科医をしている私が言うのです。本当にそうです。咳止めは漢方薬の独壇場ではないでしょうか。咳に苦しめられたならば安全で安価の麦門冬湯を是非おためし下さい。

私が日常の診療の中で、もっとも多く使用しているのは、多分この麦門冬湯でしょう。それほど、多くの患者さんにも信頼されている良い薬なのです。

釣藤散(ちょうとうさん)

更新日:2014-11-1

前回は頭痛薬として偏頭痛の場合によく使う呉茱萸湯をご紹介いたしました。今回も頭痛の薬です。釣藤散です。

これは「朝の起床時に痛む」という方によいとされています。もちろん他の時間でも構いません。また、最近では高血圧症の薬としてこの薬を愛用される人が増えています。西洋薬の血圧の薬ではなんとなく不安だ、そうかといって薬をのまないと更に不安になるという人達が血圧の薬としてのんでいます。

成分をみてみますとたしかに血圧の薬としても理にかなっているようです。釣藤散の名前の由来になっている「釣藤鈎」の薬理作用は血圧降下作用です。釣藤はアカネ科のカギカズラです。半夏は鎮静作用があります。石膏は利尿作用をもっています。人参にも降圧作用があります。その他陳皮(みかんの皮)や乾姜(乾燥させた生姜)など11種の成分で構成されています。
イライラする気分が無くなくなるので精神安定剤として服用している人もいます。血圧の薬として投与しましたら、夜の排尿の回数がほとんどなくなったと喜ばれたことがります。

ちなみに教科書には次のように効能が書かれています。「慢性に続く頭痛、肩こり、めまいがあり体力中等度あるいはやや低下した中年以降、または高血圧の傾向のあるもの」

呉茱萸湯(ごしゅゆとう)

更新日:2014-10-1

習慣性の偏頭痛、習慣性の頭痛の薬として使用することが多い漢方薬です。

寒がりで手足が冷えてしようがない、時々、頭痛が発作性に起こる、頸の後ろが凝るという方に用います。みぞおちを押さえると吐き気がする、耳鳴り、めまいも時々あり、わけもなく不安、焦燥感におそわれ、冷や汗を掻くという人のお薬です。

ちょっと範囲を広げて胃の薬、熱中症、嘔吐癖の方にも用います。この薬の歴史は古く中国の最も古い漢方薬の本にも掲載されている由緒正しき漢方薬です。

効能の主成分はミカン科の植物ゴシュユの果実。朝鮮人参と一緒に消化管を温めて胃腸機能をよくし、生姜とともに吐き気を止めて頭痛を治すとされています。愛用者の多い薬です。

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

更新日:2014-8-1

漢方薬にも沢山即効性のものがあります。この 芍薬甘草湯もその一つです。

この薬は急激におこった筋肉のけいれんと、けいれんによる痛みをしずめる効果があります。そこで「こむらがえり」によく処方されます。外出先でこのこむら返りが起こるとつらいものです。そういう人が、いつでも飲めるように鞄の中に入れておきますと、それだけで安心感が増します。

夜中,早朝にこむらがえりを起こしやすい人は、寝る前に一袋ないし二袋飲んで寝ます。夜中の脚のつりは高齢者に意外に多いものです。ぜひ教えてあげて下さい.喜ばれること間違いありません。「去杖湯」杖を去る、の異名があるほど、足腰の痛みによく効きます。しゃっくりにもよく効きます、その他、胆石の痛み、腎臓結石、肩こり、五十肩、腰痛、ぎっくり腰、寝ちがえなど多くの痛みによく効きます。

成分は漢方薬ではもっともありふれた「芍薬」と「甘草」の二つだけです。最近テレビで「コムレケア」という名前で出てる薬はこの芍薬甘草湯です。

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

更新日:2014-7-1

前月は色白水太りの方の漢方薬防己黄耆湯を取り上げました。今月も肥満の方の漢方薬です。

痩せたひょろひょろしたような人には用いません。肥満があり、へそを中心として膨満し、いわゆる重役型の太鼓腹の人の諸疾患に用います。現代的に使うならば成人病(生活習慣病)の種々に用います。例えば、肥満があって、且つまた高血圧症、高脂血症、糖尿病、慢性肝炎、高尿酸血症をもつ人などが対象になります。その他、肥満の人の諸疾患、例えば扁桃腺炎、ものもらい、口内炎、水虫、頑固な皮膚疾患、痔疾などにも用います。

この薬を漢方の痩せ薬と記載している本がたくさんあります。しかしそれは大きな間違いです。この薬で痩せることはまずありません。内臓脂肪がとれることもないと思います。 肥満の人の諸症状に投薬する薬というのが、いつの間にか漢方の痩せ薬、内臓脂肪をとる薬になったのでしょう。

成分は防風、甘草、桔梗、石膏、大黄などなど17種もの生薬で構成されています。この薬が別な商品名で売られていることがあります。そのキャッチフレーズにおなかの脂肪がとれるかのように書かれていますが、少々疑問です。

他の漢方薬も、漢方薬そのものの名前を使わず、別の商品名をつけて漢方薬そのものが売られているケースが多々あります。成分をよくみて、本などで調べてみて下さい。

防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)

更新日:2014-6-1

色白水太りの人の漢方薬です。

色白で、ちょっとポッチャリしている人が汗をかきやすく、疲れやすい、身体が重い、膝や足の関節が痛い、肩が凝りやすい、尿量が減少し、なんとなくむくみっぽい、それでいて少々口が渇くなどというときに使います。不眠の方に使って効果をあげたこともあります。中年後の女性で、少々肥満、運動不足の人の諸症状によく効きます。

最近、この薬で膝の痛みがすっかりよくなったという方がおられました。お腹を診ると少々出ていますが、押しても痛みはありません。成分は防己(おおつづらふじ)、まめ科の黄耆、棗(なつめ)、生姜(なましょうが)など六種で構成されています。

中国のもっとも古い漢方薬の教科書に載っている薬です。2000年来、廃れずに現代まで処方されているということはこの薬が葛根湯と同じくよく効くからでしょう。このタイプであまり肥っていない人は当帰芍薬散がいいのではないでしょうか。

辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)

更新日:2014-5-1

前回は花粉症・鼻の薬として葛根湯加川芎辛夷を紹介しました。

この辛夷清肺湯も鼻をきれいにする漢方薬です。辛夷(しんい)というのはモクレン科のたむしばという植物です。この植物の蕾(つぼみ)が使われています。中心は麦門冬と石膏です。そして珍しいことにビワの葉が使われています。他に7種類の薬が使われ11種で構成されています。

静かな場所で、鼻をかむのは気がひけるものです。うすい水っぱなならそっとちり紙でおさえる程度ですみますが、濃い鼻汁が出る時は困るものです。そうかといって力強くかむこともできませんし、かまなければ苦しくてしようがありません。

本当に副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)は辛いものです。濃い鼻汁がでる、鼻づまりでお困りの方は一度、ご相談下さい。ちなみに辛夷の夷という漢字ですが、さんずいをつけると洟(い、たい)という字になり、水洟(みずばな)、洟垂れ(はなたれ)となります。辛夷清肺湯が副鼻腔炎の薬と言うところが面白いですね。風邪には葛根湯よりもなんて言ったってこの辛夷清肺湯ですという人がいます。

喉が痛い、咳が出る、洟が出るとすぐにこの薬をとりに来ます。自分にはこの薬が絶対だという薬をもっているのは幸せですね。

葛根湯加川芎辛夷 (かっこんとうかせんきゅうしんい)

更新日:2014-4-1

花粉症の季節が巡ってきました。私は花粉症に小青竜湯を投与します。
ほとんどの方がよく効くとおっしゃいますが「葛根湯加川芎辛夷」の方がよく効くという先生方もおられます。

この薬は名前のとうり「葛根湯」という漢方薬の代表のような薬に川芎(せり科)と辛夷(こぶし)を加えた物です。漢方薬の教科書には、蓄膿症や慢性鼻炎などによく用いる。頭痛、肩こりなどの症状に加えて鼻がつまる、鼻汁が出るなどの症状によく効くとあります。
「葛根湯」も花粉症によく効きますから「葛根湯加川芎辛夷」も、きっと効くと思います。辛夷(しんい)はこぶしに似た、たむしば(もくれん科)の花のつぼみで、民間薬では蓄膿症、鼻炎、頭痛、歯痛に使います。川芎(せんきゅう)はせり科の植物で補血強壮鎮痛剤で、血行をよくして頭痛を治す効果があります。

夜、鼻が詰まって、安眠できないという中学生に投与しましたら、鼻がスッキリしてよく眠れるようになったと喜ばれました。
最近、この薬を風邪をひいて、鼻が詰まる、鼻水が出るという患者さんに処方してみましたところ、大変よく効くことが分かりました。私は鼻水の患者さんには、小青竜湯 を処方してきましたが、鼻が詰まるという患者さんにはなかなか良い漢方薬がありませんでした。

もちろん西洋薬にもありませんでした。
この薬のお陰で、風邪の処方にもう一つ厚みが加わったと喜んでいます。

四物湯(しもつとう)

更新日:2014-3-1

この薬はどの漢方薬の本にも婦人病の聖薬と記載されています。

月経異常、不妊症、冷え性、しもやけ、貧血など様々な婦人科疾患に使用されています。そこで婦人病の聖薬という最高の栄誉を与えられているのです。
血液循環をよくして、体をあたためる作用があり、皮膚を潤したり、ホルモンのバランスを整える効果も期待できます。
この薬の証は、手足が冷える、皮膚がかさかさして色つやが悪い、顔色も貧血あり、お腹は軟弱で、臍の上で動悸を感じるという人です。そういう人が服用するとまさに聖薬になるのです。そういう証がこの四物湯の証です。そういう人がのめば、高血圧症の人の薬になるし、低血圧の人の薬にもなるし、糖尿病の人の薬にもなります。その他、どの疾患に対しても服用して構いません。うつ病や不安神経症、ヒステリーなどの精神疾患にも用います。

成分は、当帰、川芎、芍薬、地黄の四つです。四つですから四物湯です。至って単純な処方です。皮膚が乾燥してなければ当帰芍薬散です。

灸甘草湯(しゃかんぞうとう)

更新日:2014-2-1

この薬は別名を「復脈湯ふくみゃくとう」とも呼ばれています。

不整脈を起こしている脈を、もとに戻す力をもっているので、このように呼ばれているのです。使用の目安は第一に体力が衰えていることです。そういう方の動悸や息切れ、脈の乱れに使います。脈が乱れていなくても心臓の具合がいまひとつはっきりしない人、おなかが動悸する人、手足がほてる人などにも用います。

また現代的には心臓神経症や高血圧症の方などにも用いられています。90歳のご婦人の不整脈に用いてとても喜ばれております。心臓が具合悪いと感じると、一週間飲むそうです。そうするとすっかり元気になるとおっしゃっています。

成分はあぶった(灸)甘草、生姜、人参、棗、麻子仁など9種です。
この薬で便秘が治ったと言う方がおられましたが、麻子仁が含まれているので便秘にもいいのでしょう。また、朝鮮人参が含まれているためでしょうか、疲れにくくなったという方もおられました。この薬は中国の最も古い漢方薬の本にも載っています。その薬が脈々として現代にも受け継がれているということは効くからでしょう。

科学が証明しなくても事実が証明しているのだと思います。

麦門冬湯(ばくもんどうとう)

更新日:2014-1-1

漢方薬の嫌いな人たちも、この薬をご自分で服用してみると、なーるほど漢方薬ってこんなに良く効くのかと驚く薬の一つがこの麦門冬湯です。
この薬は「咳」に本当に良く効きます。咳は肺の中の悪いものを外に出すための身体の反応ですから無闇に止めることは正しいことではありませんが、それでも咳は苦しいものですから止めたい気持ちは分かります。そういう時には是非この漢方薬を服用して下さい。西洋薬より遙かに良く効きます。「遙かに」です。小さな子供にも大人にもよく効きます。子供用に出来ている薬ですからとても飲みやすい薬です。
ひどい咳の時は二袋いっぺんに服用して下さい。強い咳に圧倒的によく効きます。漢方薬はゆっくりしか効かないと思っている方が大勢おられますが、どうしてどうして、麦門冬湯は素晴らしい即効性の薬です。のんですぐに効きます。
成分の中心は麦門冬(ゆり科のじゃのひげの根)です。それに精神安定剤の半夏、水飴やなつめなど6種で構成されています。水飴が入っているので甘くてのみやすい薬です。子供たちは喜んで飲みます。
これほど効く、咳止めの西洋薬はまずないと思います。西洋薬の咳止めは殆ど効かないと言っても間違いありません。40年内科医をしている私が言うのです。本当にそうです。咳に苦しめられたならば安全で安価の麦門冬湯を是非おためし下さい。
私が日常の診療の中で、もっとも多く使用しているのは、多分この麦門冬湯でしょう。それほど、多くの患者さんにも信頼されている良い薬なのです。 

補中益気湯 (ほちゅうえっきとう)

更新日:2013-12-1

どこも悪くないがなんとなく体力が衰えて疲れやすい、食欲がなく元気がない、手足がだるく汗をかきやすい、手術をしたがなんだかはっきりしないなどいう時に用います。
元気を出させる薬、元気を増す薬として古来より愛されている薬です。
そういう薬ですから「医王湯」とも言われています。薬の中の薬、薬の王様です。
漢方薬の王様という意味でしょう。
なにか漢方薬をのんで身体を元気にしたいが、どれが良いだろうと考えておられるならばまずこの補中益気湯を飲まれるといいでしょう。
現代的な言い方をするならば、総合ビタミン剤です。
ビタミン剤やサプリメントをのもうと考えておられるならば、まずこの漢方薬を試されてはいかがでしょうか。
元気が出るとか、風邪を引かなくなった、風邪引いたらこれに限りますね、頭痛によい、冷え性が治った、喘息が治った、花粉症にいいですね等々、 愛用者の多い薬です。私の大好きな漢方薬の一つです。
成分は万病に効くという朝鮮人参、乾燥させた生姜、乾燥させたみかんの皮、
なつめなど10種類の生薬で構成されています。
薬の効能書きには次のような疾患に効果ありと載っています。
夏やせ、病後の体力増強、結核症、食欲不振、胃下垂、感冒、痔、脱肛、子宮下垂、陰萎、半身不随、多汗症…。
やっぱり「医王湯」ですね。

小柴胡湯(しょうさいことう)

更新日:2013-11-1

この漢方薬は中国の古い医学書傷寒論に掲載されている有名な薬です。
慢性肝炎の薬として使われ、副作用で死亡したと言う記事が新聞紙上を賑わしたことがありました。
副作用があると言うことは逆に考えると、効くと言うことです。
使い方を間違えると、死ぬことさえある切れ味鋭い薬物だということです。
西洋医学の知識で使ったから大きな副作用が出たのです。
本来、この薬はかぜが長引いたり慢性の疾患があって全身がだるい、なんとなく食べたくない、口が苦い、吐き気がする、めまいがするなどいう症状があるときに用います。
江戸時代は急性の気管支炎によく使用したようです。
また、発熱と悪寒が交互に現れたり、みぞおちから左右の季肋部にかけて重苦しく抵抗があるような状態の時に用います。
前回の大柴胡湯より体格、体力が劣っている人に使います。
しかし7月号の柴胡桂枝湯よりは体力があります。
成分は柴胡(芹科のみしま柴胡の根)、半夏(サトイモ科のからすびしゃく)、生姜、人参、黄芩(シソ科。コガネバナの周皮を除いた根)など七つの成分からなっています。

大柴胡湯 (だいさいことう)

更新日:2013-10-1

今月も柴胡という植物の入った薬です。
体格のしっかりした人の頑固な肩こり、頭痛、頭重感、のぼせ感、便秘、いらいら感などの症状があるときに使います。
腹はみぞおちの周囲に、なんとなく重圧感を感じています。
現代的には、そういう人の血圧・糖尿病の薬、胃薬、肩こりなどさまざまな疾患の薬として使用します。
様々な疾患ですから、肝臓が悪いとか、痔疾であったり、喘息であったり、心不全であったり、肥満症、便秘症など、どんな疾患でもいいのです。
そういう人のための精神安定剤としてもよく使われます。
眠れない、頭が痛い、頭が重い、なんだかいらいらして怒りっぽい、自律神経失調症などなど精神疾患の薬としても使います。
肩こりの薬として処方しましたが便通がよくなりましたと言われたこともあります。
また風邪が長引いている、風邪の後がどうもスッキリしない時などにも用います。
みぞおちの左右が重苦しいという症状の人によくあいます。
成分はみかん科のダイダイなどの未熟果実,大黄という下剤、芍薬、主役は柴胡という植物です。
そのほかに精神安定剤の半夏が入っています。棗(なつめ)が入っているので花粉症などのアレルギー性の疾患にも効くようです。
全体として8種の生薬で構成されています。

柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

更新日:2013-9-1

7月、8月と、柴胡が頭に付く漢方薬を述べました。
今月は柴胡加竜骨牡蛎湯です。この漢方薬は名前に牡蛎(かき)がついています。
牡蛎(かき=海のかきです)の殻(から)は精神安定剤に使われます。
そしてこれは漢方薬の代表的な精神安定剤とされています。
この薬は比較的体力のある人に使用します。
驚きやすい、怒りっぽい、眠れない、便秘がある、血圧が高い、などの人に使います。
がっちりした体格だが、案外気が小さいというタイプでしょう。
イライラするときの精神安定剤に最適だという患者さんがおられました。
また、感冒の後で体力が回復せずいつまでもだるい、微熱がある、寝汗をかく、食欲がいまひとつ出てこないとという人にも使うこともあります。
最近は高血圧症の薬として使用する場合も多く出てきました。
高血圧症も精神的なストレスから来ると考えると、この薬は適任ではないでしょうか。
成分は牡蛎の殻、竜骨(りゅうこつ=大型の哺乳動物の化石)、精神安定剤の半夏(はんげ)、柴胡(さいこ)、半夏(さといも科)など
11種の成分で構成されています。
植物の他に動物の骨と貝殻を使用しているところが面白いと思います。
カルシュウムはしばしば西洋医学でも精神安定剤に使います。
牡蠣の殻はまさしくカルシュウムのかたまりですから、安定剤として使われても不思議はないでしょう。
単独で服用しても良いし、西洋医学の安定剤と一緒に服用して、西洋薬の働きを補うようにしてもいいと思います。


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